千鳥ヶ淵 高射機関砲台座跡
外れ弾で住民が死傷することも

 千代田区北の丸公園の国立近代美術館の前をすすみ、国立近代美術館工芸館前の代官通りを千鳥ヶ淵にそって歩いていくと右手に松などが植えられている土塁がつづいています。(写真上)
 そこに上って歩いていくとコンクリート製の円柱がいくつかあります。まるで訪ねてきた人のためのベンチのようでもあり、それにしてはちょっと大きさが不釣り合い。 数えてみると全部で七基あります。(写真下)
 散歩にきた家族連れがそこに座って弁当を広げていました。しかしこれも戦争の遺物。高射機関砲の台座です。(写真)しかし近くには、説明表示などはいっさいなく、訪れた人もこれがなんなのか全く知らない様子です




皇居防衛のために設置

この砲台座は、敗戦も近い一九四五(昭和二〇年)に設置された「九八式高射機関砲」の台座で、皇居の直接防衛のために設置されたものです。円筒中心に軸受け筒が埋め込まれ、360度の方向に射てるようにしてあり、上空にP51戦闘機などが飛来するといっせいに射撃されました。その外れ弾丸が中央区築地や港区芝あたりの民家に落下し、住民が死傷することもあったといわれています。


B29には全く歯が立たず

この高射機関砲は当時では最新式でしたが、口径20_で有効直線射程距離は約1,000b程度と短く、B29のように高々度から爆撃する航空機には全く歯が立たなかったといわれています。

(「遺跡遺構展示館」ホームページ、東京平和委員会編「東京の戦争・平和」を参考にさせて頂きました。)