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東京非核政府の会ニュース2005年3月号より連載 |
連載−T | 連載−2 | |
いま東京におかれている横田基地は米軍再編のなかで、アメリカの地球的規模での軍事的覇権の拠点としてますます強化されようとしています。 東京ドーム一五三個分の横田基地 この横田基地は、立川市、昭島市、福生市、武蔵村山市、羽村市、瑞穂町の五市一町にまたがり、七千百三十六平方b(東京ドームの百五十三個分)という広大な土地を占有する米軍基地で、これまでに何度か核兵器の持ち込みの疑惑もあったところです。 それでは、この横田基地がいまどのように変容しようとしているのでしょうか。 それは、在日米軍基地の司令部機能の強化、海外派兵部隊の機動的役割の強化を目的とした米軍再編・再配置の動き、そしてそれに伴っての航空自衛隊総隊司令部の横田基地移転、石原知事などがすすめる軍民共同使用などあわただしい動きにみられます。 米軍再編の経過をみる ところで、この米軍再編はまだ完結されたものではなく、今年十月にも日米間で合意をめざして協議がすすめられているものですが、その主な経過は次のようなものです。 二〇〇一年一月、ブッシュ米大統領が、包括的国防戦略の見直しを国防長官に指示。 二〇〇一年十月、米政府が四年毎の国防態勢見直し(QDR)を発表。 二〇〇二年十二月、日米安全保障協議委員会(2+2)で、日米両国の役割・任務、兵力構成見直しを議論することで合意。 二〇〇三年十一月、ブッシュ米大統領が、米軍の地球的規模での態勢見直しに向けた同盟国、友好国との連携を本格化させるとの声明を発表。 二〇〇三年十二月、日本政府がミサイル防衛システム導入を決定。 二〇〇四年六月、ラムズフェルド米国防長官が演説の中で、米軍再編の原則として、既存、新規の同盟国、友好国との連携強化。予測できない事態に対処するための柔軟性の開発。急速に展開できる能力、戦力の重視。作戦計画での地域間の「人工的な壁」の廃止などをあげました。 そして七月には、サンフランシスコで日米外務・防衛審議官級非公式協議をおこない米軍再編の具体化を急速にすすめつつあります。 二〇〇五年二月、日米安全保障協議委員会(2+2)で、日本は「アジア太平洋の平和と安定の支柱」(ラムズフェルド米国防長官)、そして朝鮮半島、台湾を視野に入れた共通の「戦略目標」とし、さらに世界的規模の戦略目標として「日米のパートナーシップをさらに強化する」ことなどをあきらかにしました。 それではこうしたなかで、これまでに浮上している在日米軍基地などの主な再編計画、そのなかで横田基地はどうのように変容しようとしているのかを次号で記述しましょう。 |
これまでの報道のなかであきらかになってきた横田基地に関する米軍の再編・再配置計画はつぎのようなものです。 横田基地の再編計画ー第五空軍司令部機能を維持 ※〇四年七月十五日付「毎日」は、米空軍=グアムの第十三空軍司令部を廃止し、横田基地の第五空軍司令部と統合し、太平洋全域を管轄。運用・作戦部門をグアムに集約の模様。但し司令官は横田基地におくと伝えていました。 ※しかしながら、〇五年四月十四日付「朝日」は、第十三空軍司令部と第五空軍司令部との統合案を米側が白紙に戻し、横田基地の司令部機能を維持。第十三空軍司令部を改変し、ハワイに新たな「戦闘司令部」を創設。統合案では横田基地の指令官がアジア・太平洋全域を統括することになり、日米安保条約の極東条項に触れる可能性も指摘されていた。米空軍全体の再編構想では、軍の整理・統合やテロなどへの即応態勢強化のため米国内外に戦闘司令部を十カ所創設する方針。アジア・太平洋地域では韓国と太平洋空軍司令部のあるハワイに置くことになると伝えました。 こうした報道に見られるように、横田基地はアメリカの地球的軍事戦略上ひきつづきその役割を重視していることがわかります。 航空自衛隊ー総隊司令部の横田移転も検討中 同時に,〇四年七月十五日付「毎日」は、日本政府が、航空自衛隊の総隊司令部(東京・府中市)を横田基地に移し、日米の連携強化を検討中とつたえました。そのための協議は現在も日米両国政府間で継続されています。 この問題に関して重要なことの一つは、アメリカのすすめるミサイル防衛とのかかわりです。これは、相手のミサイルを無力化するための先制攻撃態勢で、人類をいっそう核戦争の危険に巻き込むものです。 〇二年十二月十七日、ブッシュ米大統領は軍にミサイル防衛計画(MD)の早期配備を指令し、これをうけて軍が〇四年までに実戦配備を急いできました。 こうした状況のなかで日本政府は、一昨年(〇三年)十二月十九日に「弾道ミサイル防衛システムの整備について」の閣議決定をしています。そのなかでは、「現有のイージス・システム搭載護衛艦及び地対空誘導弾ペトリオットの能力向上並びにその統合運用によって可能となった」としています。これは、ブッシュ米政権がすすめるMDと一体化をすすめることとなるものです。 小泉政権がいま国会提出している自衛隊法改正案では、有事でない平時の場合でも「わが国に飛来するおそれがある」、あるいは「事前に兆候がない緊急の場合」などにも自衛隊が目標を迎撃できるようになっていること、しかもいざというときには、あらためて首相の承認がなくても現場指揮官の判断で迎撃にふみきるというものです。 つまり、ここで大事なことは、今回の米軍再編・再配置のなかで航空自衛隊総隊司令部が米第五空軍司令部のある横田基地に移転し同居するということは、こうしたアメリカの先制攻撃態勢にいっそう深く組み込まれることを意味するものです。 このことにかかわって、在日米軍のライト司令官が、毎日新聞の記者に「航空自衛隊総隊司令部を横田基地に移転する司令部の共存案はすばらしい」と絶賛していますが、このことを見ても米軍側の期待の大きさを知ることができます。 |
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